その後も高所に腕時計を持ち込んだり


1915年になると、ウィルスドルフ氏は第一次世界大戦でドイツ人名があると売上に影響するのを恐れて「ロレックス」に社名を変更。その後も勢いは止まることなく、1926年には防水性に特化した腕時計「オイスター」が登場。その翌年の1927年にはイギリスのテレビ放送で競泳選手のメルセデス・グライツ氏がオイスターを身に付けて、ドーバー海峡の横断にチャレンジすることになりました。ロレックス ROLEX (新品) グライツ氏がドーバー海峡を泳ぎ切るまでに10時間ほどかかりましたが、身に着けていたオイスターは壊れることなく、多くの人に「ロレックスの信頼性の高さ」を知らしめることになりました。

ロレックスは、その後も高所に腕時計を持ち込んだり、非常に速いスピードで走る車に載せたりして、ブランド評価を高めるという宣伝戦術を続けていきます。そして、1953年には後にSir(サー)の称号を得ることになるエドモンド・ヒラリー卿がロレックスを身に付けて、エベレストを登頂。これによって、「ロレックス=達成者の象徴」というイメージが定着することになりました 。

2000年になると、ロレックスがムーブメント Cal.4130を開発したことで、部品の数を通常のクロノグラフよりもはるかに少ない290個に抑えることに成功します。このことからわかるように、同社は創業から100年以上たった2018年時点でも高い技術力を維持し続けており、腕時計市場のトップを走り続けています。

もちろん、ロレックスで製造される時計は、現在でも非常に厳しい検査を通過しなければならず、試験をクリアできなければ出荷されることはありません。また、出荷検査も厳しいのですが、その後に検査機関のCOSCでテストが行われるため、不正が起こる心配もありません。なお、ロレックス製の腕時計は「Superlative Chronometer(高精度クロノメーター)」の認定を受けており、「1日あたり-2秒~+2秒のずれ」であることが実証されています。この基準は通常でも厳しい検査基準とされる「1日あたり-4秒~+6秒のずれ」よりも高精度となっていて、いかにロレックスが高品質な時計かを物語っています。

ロレックス並に高精度な時計のムーブメントを開発するには、「長い年月」と「お金」が必要です。そして、腕時計の部品自体も非常に小さく、製造時の歩留まりが低くなる傾向があり、製造原価が高くなってしまいます。さらに、時計の組立ては全て手作業で行う必要があることと、スイスの労働単価が世界一高いことから時計の製造だけでも、非常に高いコストがかかってしまいます。

ロレックスは材料にもこだわっており、通常の高級腕時計でも扱われないような「904Lステンレス」と呼ばれる見た目が良くて、非常に硬いことでも知られる高価な素材を使用しています。 ロレックス - Wikipediaもちろん、硬い素材であることから、加工するために特別な機材を用意する必要があり、同じ高級腕時計メーカーのオメガやタグホイヤーよりも原価が高くなってしまうそうです。